パーソン・ジャック・ラッセル・テリアって・・・


パーソン・ジャック・ラッセル・テリアのバックグラウンドをご説明致しましょう。

 1986年にJRTCGBのメンバー数人がジャック・ラッセル・テリアをドッグショーに出陳したいとクラブを退会したのが事の始まりです。それまでは「ジャック・ラッセル・テリアは多犬種登録団体には登録しない」と考えていらした方達だったのですが、飼い主さんの中には他犬種でKCのドッグショーに参加なさっていた方もおり、どうしてもドッグショーに自分達の大切なジャック・ラッセル・テリアを出したかったのでしょう。今から考えれば短絡的な考え方であったとしか言い様がありません。

 JRTCGBを辞めた方達は「パーソン・ジャック・ラッセル・テリア・クラブ」と言う団体を作り、1990年1月22日にBKC(British Kennnel Club)によって犬種の承認を得ました。それまでの道程は決して容易い物ではなかった事は言うまでもありません。1995年にJKCがジャック・ラッセル・テリアを承認した時と同じ様に世界中のJRTCが反対運動を起しましたが結果はご存知の通りです。BKCにはThe Parson JRT(パーソン・JRT):フォックス・テリアの変形として承認されました。

 BKCはJRTCBから行った犬達の殆ど(当時75頭)をパーソン・ジャック・ラッセル・テリアとして認めました。しかし、この頭数だけでは交配相手に限りがありました。そこで彼らは何を考えたのか確立した犬種となっているフォックス・テリアをジャック・ラッセル・テリアに交配し始めたのです。時は経ち、多くのパーソン・ジャック・ラッセル・テリアが著名なドッグショー、例えばクラフト・ショー、などにも参加しはじめ、マスコミの注目を集めた時期もありました。この犬種は1999年に、パーソン・ラッセル・テリアという新しい名称が与えられ、FCIの承認を2001年6月4日に得ました。


1996年の段階であれだけKCの承認を取りたがったパーソン・ジャック・ラッセル・テリア・クラブ内で多くの疑問が持ち上がり始めたのです。自分達の犬の変り様に改めて気付いたのでしょう。この事は書面としても残っています。もし彼等が1986年の段階でジャック・ラッセル牧師が当時フォックス・テリアとして取り扱われていたジャック・ラッセル・テリアをBKCのショーに出す事でその使役犬としての能力を失い、体型までが変ってしまった事を悔やんでいらした事を少しでも思い起こしていてくれていたら今日の状況は起こらなかったことでしょう。1800年代に起こった事が2000年になって繰り返されているのです。パーソン・ジャック・ラッセル・テリアは大型化し、猟犬としての資質を失ってしまいました。何よりもジャック・ラッセル・テリア・クラブが懸念している事はこの事態を危惧するパーソン・ジャック・ラッセル・テリアの飼い主達がジャック・ラッセル・テリアをもう一度パーソン・ジャック・ラッセル・テリアに組み入れ様としている事です。

 1986年に我々の多くがこの事をJRTCGBから離れていった人達に5年後を考えて欲しい、犬の形が変ってしまうと何度か考え直す事を勧めたのですが、聞き入れて貰えず現在に至っています。我々の懸念のひとつがドッグショーでパーソン・ジャック・ラッセル・テリアを審査する審査員がワーキング・テリアの姿を知らない事と実際に我々が保全し続けるジャック・ラッセル・テリアを審査した事がないなどがあります。よって、審査員は胸の深さや身体の形に注意を払うことなく、大きい犬を優位に立たせてしまうのです。結果、それらの犬が交配に使われ我々が一番懸念している犬の形の変化として結果が出てきてしまったのです。


イギリスにはジャック・ラッセル・テリアだけではなく、他にも使役犬として保全されているテリアがいます。レイクランド・テリア、ボーダー・テリア、パターデール・テリアなどが皆さんもご存知の犬種でしょう。パターデール・テリア以外は全て独自の単独犬種クラブを持ち、使役犬としての犬種の保全をしています。彼らもまたKCに承認された同一名を持つ別の犬がいるのです。結局ジャック・ラッセル・テリアもまたレイクランドやボーダー・テリアに起こった変化が起こってしまったのでした。

 個人的な意見を言わせて貰うと、起こってしまった事は起こった事として認める気持ちも必要なのではないでしょうか。もちろん犬種として認められているパーソン・ジャック・ラッセル・テリアとジャック・ラッセル・テリアの交配は行ってはいけないと思いますが、将来を危惧するパーソン・ジャック・ラッセル・テリアの飼い主さんが先祖帰りしている小型のパーソン・ジャック・ラッセル・テリアを現在のパーソンJRTに交配する事でジャック・ラッセル・テリアらしさを失う事を食い止められると思いますし、確立した犬種を他犬種のオーナーがどうこう言う事ではないと考えます。パーソン・ジャック・ラッセル・テリアもまた、その血の中には本能として使役犬の性格が残っているはずです。ジャック・ラッセル・テリアの歴史があってからでこそのパーソン・ジャック・ラッセル・テリアであり、ジャック・ラッセル・テリアの辿ってきた道を知って頂く事によりパーソン・ジャック・ラッセル・テリアを知る事ができると考えて頂きたく思います。


Ann Natori c/o:Japan Jack Russell Terrier Foundation