ジャック・ラッセル・テリアの歴史と種類

ジャック・ラッセル・テリアは「世界でもっとも有名な雑種犬」として知られています。そのためジャック・ラッセル・テリアの歴史的経緯によってこの犬種に対する考え方やスタンダードの基準がそれぞれのクラブによって異なっています。


ジャック・ラッセル・テリア

実際にジョン・ラッセル牧師が当時どのようなワーキングテリアをハンティングに使用していたのか今となっては推測の域を出ませんし、またイギリスのハンティング・シーンというものは大変奥の深いものでありそれらを現在の日本で考えるというのは到底無理な事だと考えます。ジャック・ラッセル・テリアを登録しているクラブもそれぞれの解釈が異なっており、ジャックラッセルテリアに関する書物も書いてあることがまちまちです。こうなると一体何をもってジャックラッセルテリアというのかは本当のところは誰にも判らないのではないでしょうか?


その後のジャック・ラッセル・テリア

のちのデボン州スイムブリッジの教区牧師ジョン・ラッセルが若い頃オックスフォードで学んでいる時、オックスフォードシャー、マーストン村で牛乳配達人からで彼の最初のテリアを購入したと言われています。
この購入の日付は1815-1819年の間で変動します。このテリア犬はフォックステリアタイプでありTrumpまたはThumpと名付けられたおよそ14インチのラフコートの白いメスのテリアで、その後のジャックラッセル伝説の始まりであったという話はよく知られています。

それではこのイヌたちはその後どのような経緯をえて現在ジャックラッセルテリアと呼ばれるイヌに繋がっていくのでしょうか?

彼が生存中多様なテリアを掛け合わせ繁殖を行い、またそのテリア達は幾人かの人々に渡ったのは疑いもない事実であり、さらにジョン・ラッセル牧師の当初のハンティングに対する思惑〔紳士的な猟犬=獲物を殺すまで至らない〕とは別のところでそのテリア達にブルドックの血を掛け合わせさらに攻撃的なイヌを作りだしたりもしたと伝えられています。このように本来はフォックス・ハンティングのためのテリアであってのですが、その後狩猟目的によって性格や体型の改良がおこなわれることになります。 


1883年にジョン・ラッセル牧師は亡くなり彼のケンネルは離散しました。このときイヌの一部はニコラス・スノー(Exmmor地方のマスター・オブ・フォックス・ハウンドに渡ったといわれています。

さらにこのイヌ達はアーサー・ハイネマンに引き継がれ彼の犬舎の基礎を築きます。(彼はバジャー・デイッガーと呼ばれる穴熊猟を行っておりCheriton地方のマスター・オブ・オッター・ハウンドでもありました。さらに真のジャック・ラッセル・テリア・ブリーダーの中で最後の1人だとしてしばしば引用されます)

ハイネマンは1930年に亡くなり、70,000ポンドの財産を失うとともに彼のテリアも離散してしまいます。その後しばしば”純粋なジャック・ラッセル・テリア”の宣伝文句として”ハイネマンのレイトンジャック”が使われることになりますが、ブライアン・プラマーはこのような広告は話半分に聞くべきだと警告しています。(ブライアン・プラマーはJRTGBの創立者及び会長の1人で”コンプリート・ジャックラッセルテリア”をはじめとワーキング・テリアに関する書物を数多く執筆している。また1977年のネズミ捕りで3トン弱の捕獲レコードを持っていて、ネズミ捕りに傑出したテリアをブリーディングしている)

ハイネマンの死後、彼の犬舎のメイドであったアニー・ロウェル(後のノースデボンのバジャークラブ会長)が大部分のテリアを引き取りましたがやはり彼女の死後テリアのほとんどは離散した模様です。

プラマーは、「純然たるジャック・ラッセル・テリア」という主張の後ろにおいて論理的、数学的にイヌのブリーディング考えなければならないと述べています。つまりラッセル牧師は1883年約120年前に亡くなりましたが牧師から直接イヌを買った誰かによって慢性的にインブリードされない限りオリジナルの血統は、他の血統または犬種との交配によって大いに薄められてしまうと考えるのが妥当であると書いています。

しかしながらごく僅かのワーキング・テリアのブリーダーがジョン・ラッセルから伝わる正確な血統書を持っていたとも書いていますが、実際には白色のワーキング・テリアであるならばとりあえずジャックラッセルテリアと知られ、ごく一般的なジャックラッセルテリアのショーにおいても明らかにシーリー・ハム・テリア、フォックス・テリア、レイクランド・テリアの特徴を持ったイヌが出品されているがこれらとの交配は最悪のミックス・ブリードではなく、ラッセルおよびハイネマン両者の血統のイヌだけをジャックラッセルテリアとするのではなく、ほとんどのモダンジャックラッセルテリアもチャンスを与えられたならきちんと働くであろうと結んでいます。

またエディー・チャップマン(JRTGBの創立者の1人で”リアル・ジャックラッセルテリア”の著者、また実猟用のワーキング・ジャックラッセルテリアを現在も繁殖させている)は「純粋なジャックラッセルテリアの血脈が絶えたと言う人々の言葉には耳を貸すべきではない、純粋なジャックラッセルテリアは目が肥えてくれば判るものだ」と”リアル・ジャックラッセルテリア”で述べています。

これがどういう事かといえば実猟で使用することを考えれば自ずとそれに相応しいイヌの体型、性格、能力が決まってくるものである、さらに優れたハンティング・テリアは自分で何をすべきか判っているイヌであることも重要であると書かれています。

彼の著書の中でジェラルド・ジョーンズ(ダン・ラッセルという名前で知られておりアーサー・ハイネマンと親交があり彼からテリアを入手している)に対するインタビューの中で、ヘイネマンの血脈を持つテリアの中にはかなり高い濃度をまだ保っているテリアもいるが、ほとんどのテリアは何らかの理由で現在ではその血はかなり薄められてしまっているだろうと答えています。 


このようにジャックラッセルテリアに関する考え方の根底にはつねにイギリスのハンティング・シーンがありそれぞれの目的(獲物)によってたくさんのジャックラッセルテリアが用途によってブリーディングされてきました。それらのジャックラッセルテリアのごく一部が現在のジャックラッセルテリアに繋がります。産地や型の違いこそあれほとんどのジャックラッセルテリアがワーキング・テリアとしての資質を脈々と受け継いでおり、型にとらわれることなくその本質が何かを見いだし、また自分のジャックラッセルテリアは何が得意の仕事なのかを見いだせるような飼育をしていただきたいと考えております。さらにその優れた資質を未来に引き継ぐことが大切だと考えます。


ジャック・ラッセル・テリアの登録団体は下記のものがあり、それぞれの団体がジャック・ラッセル・テリアの基準を持っています。

BJRTC

 

British Jack Russell Terrier Club:JRTCGBから分派したクラブ。

 

EJRTCA

 

English Jack Russell Terrier Club :アメリカのクラブでプディングタイプをプロモートしている。

 

JRTBC

 

Jack Russell Terrier Breeders Club:JRTCAから分派したクラブでAKCの登録方法を支持している。

 

JRTCA

 

1976年に設立されたアメリカのジャックラッセルテリア繁殖、登録のクラブ。

 

JRTCC

 

JRTCAと同趣旨のカナダのクラブ。

 

JRTGB

 

英国のジャックラッセルテリアクラブでJRT〜と名前がつくクラブの母体。

 

PJRTC

 

Parson Jack Russell Terrier Club :英国のクラブでKCの登録が元になっている。

 

KC

 

ケンネルクラブ:イギリスの多犬種を取り扱うクラブで〜KCと名前がつくクラブの母体。

 


ジャック・ラッセル・テリアの種類

プディングタイプ

ジャックラッセルテリアの一種。短い足によって分類されている。1900年代初頭にBadger〔穴熊〕堀りの熱狂者たちによってブルドックまたはブルテリアをかけて作りだされた言われてる。

パーソン・ジャック・ラッセル・テリア

イギリスのパーソン・ジャック・ラッセル・テリア・クラブがKCに対して承認をとりつけたジャックラッセルテリアの一種。全体的に標準的なジャックラッセルテリアよりも大柄である。頭数としては比較的少ない。
なおFCIで公認したのパーソン・ラッセル・テリアと名称が差し替えられた。

オーストラリアタイプ

元々は標準的なジャックラッセルテリアが持ち込まれていたが、絶対的な交配用の頭数が少なかったために他犬種との交配が行われた。性格的には標準的なジャックラッセルテリアよりマイルドなものが多い。しかしオーストラリアの一部の犬舎においては標準的なジャックラッセルテリアを繁殖しているところもある。

オランダタイプ

標準的なジャックラッセルテリアとプディングタイプとの交配が多くどちらかと言えばプディングタイプに近いが一般的に見分けは困難である。

現在増えてきたタイプ

米国などでは標準的なジャックラッセルテリアに比べ足が僅かに長い体型が増えてきている。また国内においては全般的に茶・白のスムースが増えてきているが無計画な繁殖により色素の欠乏(本来はタンであるが徐々にレモンへと変化している)、体型の変化、さらにアレルギー疾患による異常等のイヌも増えてきている。


Tetsuya Nakamura. c/o jrt@olive.ocnene.jp